01
診療の質を上げることは、医療機関としての命題であり、向上のためには、まず自らの課題への「気づき」が重要です。その課題に対してPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を繰り返し、改善につなげていきます。そのために当グループでは3つの柱を設けて取り組んでいます。
01Quality Indicator(QI)の導入
明確な指標を設けて「診療の質」を評価します。数値によって「気づき」が可視化されるため、PDCAサイクルを繰り返すことが可能になります。多くの病院を横断的に比較するのではなく、それぞれの病院における診療の質を、時系列で改善することが目的です。
評価項目:入院(全病棟共通)
評価項目:入院
(病棟別:回復期リハビリテーション)
02患者満足度調査の導入
2018年12月以降、年に2回、調査日時点で入院後7日以上経過している患者さん全員に、満足度調査を行っていきます。QI同様、このことによって「気づき」を得て、課題の可視化から改善につなげていくものです。アメリカではHCAHPS(※)surveyとして、患者さんの視点から医療サービスの質を評価する統一的な評価指数を政府が開発し、医療機関には公的な報告が義務付けられています。日本では現在そうした指数は特に設けられておらず、グループ内外に関わらず、病院ごとの実施状況や内容にバラつきが多いことが問題視されていました。
※Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems の略
グループでの調査項目(一部)
03各種委員会が効果を上げるための取り組み
病院ごとに委員会を設け、多職種がそれぞれの専門性を活かしながら診療の質について意見交換をすることで、診療の質向上につなげます。何となく開催しているだけにならず、責任を持って成果をあげる委員会になるように努力しています。また、年に数回、全病院の同一委員会メンバーが一堂に集まり研修会を行うことにより、病院ごとによる質のばらつきを防ぎます。
代表的な委員会
02
新入職スタッフへの研修はもちろん、さらなる成長のための研修などの取り組みを活発に行っています。専門性の高い内容や、より多角的な視点を得られる内容を設け、研鑽に努めています。
診療部
「医師研修会」として、前期・後期で1回ずつ、関東・関西に分かれ、毎回テーマを決めてシンポジウムやグループワーク、講演を行い、理解を深めています。特に2019年からは、コメディカルスタッフも参加し、率直な意見交換を行い、より進んだチーム医療への取り組みも行っています。
医師研修会の一例
看護部
中央研修を年に数回開催し、エリアが違っても同じ教育が受けられるよう、体制を整えています。また、専門知識や技術を段階的に身につけるためクリニカルラダー(※)を導入。ラダー別にe-ラーニングを用いた研修計画を立てています。
※クリニカルラダー:看護師のキャリア開発の指標。ラダーは「はしご」を意味する。
中央研修の一例
リハビリテーション部
研修会はエリアごとに分かれてスタッフ全員が合同で行うもののほか、年に1回、それぞれの専門領域ごとによる専門性の高い研修が開催され、各自の理解を深めることにつなげています。そのほか、病院ごとで部門会を定期的に開催。内容も多岐に渡り、リハビリテーションについての技術的な内容から、院内の他職種スタッフや外部講師を招いたものなど、幅広く行われています。
部門研修会の一例
薬剤部
関西と関東のエリアごとで、年に2回を軸に部門研修会を開催しています。毎回テーマを設けて行われ、グループ内の認定薬剤師による講義のほか、症例検討や手技について実践し、理解を深めています。
研修の目的
部門研修会の一例
介護部
教育体制には3つの柱を設け、スタッフをサポートします。まず、成長の段階に応じて受けるラダー別研修、さらにケアマネジャーや介護福祉士などの資格取得に向けた研修、また部内の職種ごとによる研修と、知識や技術の習得を支援しています。また、全病院・施設にe-ラーニングを導入し、研修を行っているのも特長です。
ラダー別研修の一例
担当別研修の一例
栄養部
集合研修を含めて、年に4回ほどの研修で成長を後押ししています。また、研修として所属以外の病院・施設への見学も可能で、技術やノウハウの共有が活発になされています。特長的なのが、例年10月ごろに開催される調理コンクールです。有志の管理栄養士・調理師のコンビがオリジナルの献立で競い、入賞者には賞金が授与されるほか、実際の献立として採用されます。味はもちろんのこと、栄養面や食べやすさ、見た目の良さや調理の過程も含めて審査。患者さん・利用者さんに、さらにおいしく安全な食事を提供できるよう、グループ内で切磋琢磨しながら、その向上につなげていく取り組みです。また、症例問題を隔月で行うことで症例に対する栄養管理の力の向上や、新たな経管栄養剤や付加食の導入により栄養管理の幅を広げるような研修も進めています。
研修の目的
部門研修会の一例
毎年、グループ全体での学会を関東と関西で開催。職種の垣根を越えて多くのスタッフが参加し、それぞれの分野における研究結果の発表や課題を共有することで、技術や意識の向上につなげています。
学会の目的
毎年、関東・関西合わせて150以上の演題がスタッフから集まり、審査委員による事前選考を通った演題が学会にて発表されます。さらに優秀な演題は表彰され、研究費が支給されます。
本来、慢性期医療と急性期医療はその役割が異なりますが、国内の医学部においては、慢性期医療に対応した教育プログラムが実施されていませんでした。
そのため、2017年9月、当グループが培ってきた慢性期医療のノウハウを詰め込んだ教科書『慢性期医療の全て』を発行しました。慢性期医療の現場で活かすことができる実践的な参考書として、役立てていただけます。
また2017年10月には、当グループの代表 武久洋三が執筆した『こうすれば日本の医療費を半減できる』を出版。多くの病院が抱える問題や、リハビリテーションの重要性を訴えた書籍です。ぜひお手に取ってご覧ください。
03
自己研鑽をバックアップする制度がリニューアル!
研修に対する費用補助の回数について、上限がなくなりました。業務に役立つ研修には足を運び、自身のスキルアップに役立てることができます。
患者さん・利用者さんへ、より良い医療やサービスを提供するために、資格の取得を応援する制度が設けられています。新しい資格を取得したい、受けたい研修があるけど費用が心配、など目標に向けて努力する人をサポート。さらに、取得した資格に対しても手当が支給されます。
対象の部門と制度には次のようなものがあります。
看護部
看護師 認定資格活動手当
指定した分野の認定資格を取得し、それに則った活動を行う看護師に対する手当を支給しています。資格を活かしてグループ内外で積極的な活動を行ってもらうことを目的とし、手当は資格に対してではなく、活動に対して支給されます。
対象資格の一例
リハビリテーション部
認定・専門療法士資格活動手当
PT・OT・STの国家資格取得後も、自己研鑽を常に怠らないスタッフのために、グループが推奨する認定や専門の資格には資格手当の付与を行い、取得を支援しています。現在までに多くのスタッフが資格を取得し、スキルアップを患者さん・利用者さんへの還元につなげています。
取得資格の一例
薬剤部
認定・専門薬剤師資格活動手当
薬剤師の能力向上とその保証機構として、国内には各薬剤師団体が発行する認定薬剤師・専門薬剤師制度があります。グループでは、認定・専門薬剤師資格を持つ常勤薬剤師に対して手当を支給する制度を設けています。対象資格は、地域活動への参入、慢性期医療に重点を置いた医療への貢献を目的としたものです。資格を活かしたグループでの活躍をサポートいたします。
対象資格の一例
栄養部
オリジナルライセンス制度
調理技術・作業効率について実技試験を行い、その基準を満たした者には、ライセンスが与えられるとともに、取得したライセンスごとに手当が付与されます。グループ全体で、厨房に調理技術の向上をサポートすることを目的とした制度です。
04
特定行為研修を修了した看護師は、特定看護師として、医師の判断を待たずに、38の診療補助行為を行うことが可能になります。PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)や、褥瘡処置にも携わることができるなど、よりタイムリーな対応が可能なため、超高齢化社会を迎える現在、在宅医療などの現場で活躍が期待されています。当グループでは特定看護師へのキャリアアップを後押しし、多くのスタッフが活躍の場を広げています!また、特定行為研修を修了した看護師が着用する、オリジナルのスクラブも作成しています。
特定行為看護師
キャリアアップへのサポート